十月の夜は、お風呂の香りをひとつ。
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十月を迎えるころには、日が暮れたあとの時間が少し長く感じられるようになります。
帰り道の風。
窓を閉めたあとの静けさ。
夜の中に、秋の気配が少しずつ増えていきます。
一日の終わりに入るお風呂も、夏とは少し違って感じられる時期です。
けれど、ゆっくり湯船につかろう。
丁寧に過ごそう。
そう考えるほど、忙しい日には入浴まで大きな予定のように感じることがあります。
そんな日は、時間や手順を整える前に、香りを一つだけ選んでみる。
深く息をつきたい気分の日。
穏やかな香りをそばに置きたい日。
少しだけ旅先のような気分を楽しみたい日。
そのとき心地よく感じるものを、浴室へ持っていきます。
入浴剤を一つ選ぶ。
バスオイルを少量使う。
いつもの石けんの香りを、ゆっくり確かめてみる。
何かを新しく加えなくても、すでにある香りに気づくだけでよいのです。
もちろん、香りを使いたくない日もあります。
何も加えず、お湯だけで過ごす。
短い時間で上がる。
湯船には入らず、シャワーだけにする。
その日の自分が選んだ形なら、それで十分です。
香りの種類をたくさん揃える必要もありません。
昨日と同じものを選んでもよい。
途中で強く感じたら、無理に使い続けなくてもよい。
暮らしを整えるための選択が、新しい決まりごとにならないように。
今日はこれがよさそう、と思える一つを選ぶだけにしてみます。
お風呂から上がったあとは、特別なことを続けなくても構いません。
髪を乾かし、飲みものを用意し、いつもの夜へ戻っていく。
香りが少し残っていれば、その余韻も一緒に。
残っていなければ、それもまた自然なことです。
秋が深まり始める十月。
長い夜をきちんと過ごそうとせず、まずはお風呂の香りを一つ選ぶところから始めてみませんか。
今日の調律
今夜のお風呂に、どんな香りを持っていきたいですか。
やわらかな香り。
すっきりした香り。
いつも使っている、なじみのある香り。
何も加えないという選択も含めて、今の自分に合うものを一つだけ。
時間や手順ではなく、香りから夜を選んでみましょう。